簡裁代理・本人訴訟支援

簡裁代理・本人訴訟支援

 
⇒(簡裁代理)
 

 「司法書士」というと「訴訟」のイメージとは程遠く、相続手続や登記手続の専門家というイメージではないでしょうか。しかし、司法制度改革により、2002(平成14)年以降は、国民の身近な紛争解決の担い手として、法務大臣の認定試験に合格した司法書士については訴額※140万円以内の民事事件について、簡易裁判所での訴訟等の代理権が付与されたため、司法書士業界としては、活動の幅が広がり、事務所によっては全く違う分野に取り組んでいる、といった時代になってきたように思います。
 ※訴訟物の価額の算定基準について(昭和31年12月12日民事甲第412号 高等裁判所長官、地方裁判所あて民事局長通知、裁判所時報第221号)
 ※訴額は個々の事案毎に異なります。個別にお問合せ下さい。

 

 当事務所は、過払金請求(事件)の全盛期から現在に至るまで継続的に様々な類型の訴訟業務(和解も含む)に携わってまいりました。また、「書証」(証拠となりうる文書)では立証不十分な場合の「人証」(当事者尋問・証人尋問)についても事件の難易度や訴額の多寡にかかわらず、積極的に取り組んでおります。
 
 また判決確定後には、勝訴割合に応じた「訴訟費用額の確定処分申立」をすることで訴訟費用の一部を相手方に請求することもできます。(詳細は個別にご相談ください。)

 

 もちろん、お客様の中には、相手が近しい人、友人、お世話になった方の場合は、始めから訴訟では抵抗があるという方もいらっしゃるかと思います。その場合は、お客様のご希望に応じて「調停」や「和解」等での対策を取らせて頂きます。
 

 

 

【金銭請求型】
 訴訟等で勝訴しても、債権回収できなければ訴訟する意味がないため、相手の資力の有無や強制執行の対象となる相手財産の存否もご一緒に検討しましょう。 また通常訴訟だけでなく、「少額訴訟」制度や「支払督促」制度もこの類型に含まれます。ただし、少額訴訟は、期日が原則1回で終わるため、証明しやすい証拠(証書)が存在する場合に限り、利用したほうが良いでしょう。
 

●貸金請求 → 「その他訴訟類型」
 (知人が貸したお金をかえしてくれない場合の貸金請求)
 依頼者にとっては、知人に貸した金額によっては、専門家に依頼することもためらわれることもあるでしょう。借用証書のほか、貸付や返済に関する電子メールやラインメールでのやり取りの画面のスクリーンショット写真が証拠となります。
 

●未払賃料請求 → 「賃貸借トラブル」参照
 (賃貸借契約に基づき、未払いの賃料が支払われない場合の未払賃料請求)
 借主の夜逃げや資力喪失などの事情がある場合、保証人に請求することも検討する必要が出てまいります。契約書、賃料の入金記録が未払い賃料の算定資料や証拠として必要となります。
 

●売買代金請求、請負代金請求 → 「その他訴訟類型」
 (取引先(発注者)が請け負代金(又は売買代金)を支払ってくれない場合)
 この類型は、契約書に何が書かれているかが、訴訟における勝敗に関わります。契約約款を見直したいという法人様は、予防法務としても事前にご相談ください。
 

●不当利得返還請求
 ○既払い金返還請求(ex.クーリングオフ) → 「消費者トラブル」参照
 ○過払い金返還請求             → 「債務整理」参照
 

●損害賠償請求 → 「その他訴訟類型」

 ○不貞慰謝料請求
 ○名誉棄損慰謝料請求
 ○自動車保険契約(人身傷害保険等)に基づく自己の保険会社への保険金請求
 この類型は、故意過失や因果関係についての立証が求められ、音声記録、陳述書、人証(尋問)等、事案によっては医師の診断書等も必要になるため、難易度が高く、裁判官の裁量により地裁に移送されることもあります。
 

●残業代請求 → 「残業代トラブル」参照
 
【履行請求型】
 相手に物(動産、自動車、不動産)の引き渡し、明け渡し、名義(不動産でいうところの「登記」自動車でいうところの「登録」等)の移転を求めたいとき
 

●建物明渡し請求、土地明渡し請求 → 「賃貸借トラブル」参照
 強制執行の費用を可能な限り、節約できるよう任意の明渡し交渉を試みるのが、当事務所の特長です。
 相手が残置物を残しての退去済みの場合でも家賃未払いでの不退去の場合も対応可能です。
 

●所有権移転登記手続請求 → 「判決による登記」を参照
 ○時効取得による不動産の移転登記
 ○真正なる登記名義の回復
 弁護士の先生からもご相談をうけることのある類型。司法書士が受任する簡裁訴訟の典型例です。
 

●抵当権抹消登記手続請求 → 「判決による登記」を参照
 ○弁済による抵当権抹消登記
 ○時効消滅による抵当権抹消登記
 「所有権の登記」と同様で司法書士が受任する簡裁訴訟の典型例です。訴訟外での交渉(裁判外和解業務)も、この類型に含まれます。当事務所では事案に応じて柔軟な対応を心がけております。
 

【債務不存在確認型】
 (相手から金銭の支払いを求められているが、支払う必要がないとき)
 
●原状回復費用支払債務不存在確認請求 → 「賃貸借トラブル」参照
 退去時に問題となる室内クリーニング等の負担を公平に分配するためには、賃貸借契約書の他、物件の写真(外観・退去時の室内)が重要な証拠となります。
 

●代金支払債務不存在確認請求 → 「消費者トラブル」参照
 相手の用意した定型約款、申込書に署名等をしたものの契約に無効、取消し事由がある場合
 

 

 
⇒(本人訴訟支援)
 

 少額の案件の場合、費用との兼ね合いで、本人訴訟(ご自身での訴訟遂行)を希望される方も一定数いらっしゃるかと思います。(元々、司法書士は簡裁代理権を取得する以前から本人訴訟の書類作成等で支援をしておりました。)

 当事務所では、これまでにも地方裁判所における本人訴訟支援(尋問期日に向けての証拠申出書の作成支援やリハーサルを含む)を行ってまいりましたが、ご依頼の際には、次の点についてご検討頂ければ幸いです。

 

✓ 争点が明確で、ご本人が事実関係を理解していること。

 

✓ 証拠があること、もしくは保全可能で立証が容易であること。

 

✓ 本人が平日の日中に出廷可能であり、訴訟遂行(裁判官との法廷でのやりとり等)を行う資質があること。

 

 以上、簡裁代理・本人訴訟支援の相違点にふれてみました。次に、司法書士ならではの訴訟の例(簡裁代理)をご紹介いたします。


 
⇒判決による登記
 

 裁判所で作成される判決書の「請求の趣旨」について、後に登記申請する際の添付書類(登記原因証明情報)として問題なく使えるように、「訴状」作成の段階から法務局に照会しておきます。

 

 他方、裁判所では、無事に判決を取得して「判決による登記」につなげることができるように、裁判官にもご協力(ご配慮)頂きながら、訴状・準備書面を作成します。

 (なお、同様の工夫は、離婚案件における「調停調書」の文言作成の際にも必要となります。)

 

 このように、登記(手続)と訴訟(実体問題の解決)の双方を取り扱う仕事に関わっているという点に認定司法書士の特長が出ていると言えるでしょう。

 

 

 【古い時代の抵当権の抹消登記手続請求(訴訟)】

 抵当権者(多くはその相続人)の行方が判明した場合でも、抹消登記手続に協力してもらえない場合もあるかと思います。そのような場合でも、当職は念のため協力をお願いしてみる方針です。

 

 相手の方にしてみれば、昔、先代がつけた抵当権についてなど、全く関知していないところへ、面識のない人から突如、抹消手続をお願いされたとしても、なかなか協力する気になれないものだと思います。

 

 そこで、所有者としては、弁済や時効を主張して、裁判所に抵当権抹消登記手続訴訟を提起する方法が考えられます。その後、勝訴判決を得られれば、登記権利者(所有者)のみで抹消登記手続が可能となります。

 

 

 【時効取得による所有権移転登記手続請求(訴訟)】

 この訴訟類型では、土地の所有者(表題部所有者を含む)が不在(生死不明、相続人の存在も不明)というケースが多く見られます。

 10年又は20年の時効の起算点がどの時点になるのか、占有権原や占有の状況はどうかという観点から、ご相談者の方のお話をお聞きし、時効取得の可能性を模索します。
 
 不在者の代わりに、長年、固定資産税を納税しているという方からご依頼を頂くこともあります。

時効で取得したことが確定した暁には、時効取得者名義での所有権保存登記もしくは所有権移転登記を申請できます。(時効取得すると、「一時所得」として所得税(国税)の課税対象となるようです。)

 

 
⇒その他の訴訟類型
 

 【マンション滞納管理費請求】

 未払い賃料に関する回収の経験を活かして、マンション管理費請求にも注力しております。

 マンションの管理組合が「法人」のケースと、そうでないケース(いわゆる「権利能力なき社団」)とがありますが、裁判所を通じた請求を行う場合、各々手続に必要な書類が異なってきます。

 

 管理費滞納の兆候が見られる住人の方へのご対応につきましては、お手紙(私文書)での催促から支払督促申立等の法的手段までいくつかの方法がございますので、お早めにご相談ください。

 
 【請負代金請求事件】

 請負代金と一口に言っても、種類は様々だと思います。

 取引先との交渉がこじれる前に、お手元の資料(契約書、見積書、その他、メールやラインでのやりとり)を保全・収集の上、お早めにご相談ください。

 (全部はなくても、証拠となり得るものが一部でもあれば、あきらめるのは早いかもしれません。)

 また、これから企業間で取引を開始される方の契約トラブルの予防法務も承ります。

 

 

 【貸金請求事件】

 個人間でお金の貸し借りをしたものの、借用証書等はなく、ラインでのやりとりしか残っていない・・・という方も、一度ご相談ください。

 また、これから個人間でお金の貸し借りをお考えの方(一方又は双方)からの契約書作成のご依頼等の予防法務も承ります。
 
 個人から(又は金融機関から)「貸金請求事件」の被告として訴状が届いた場合、支払う意思はあるけれど、「分割弁済でお願いしたい」「期日までの期間が短い」「その日は出頭(出廷)できない」「出頭するには裁判所が遠い」といったことで悩みが出てくるかもしれません。そのような場合でも、答弁書に記載すべきことを共に考えましょう。

 
 【損害賠償請求事件】

 BtoB(事業者間)契約のキャンセル、コロナウイルス感染症拡大防止の観点からの解約(俗にいう「コロナキャンセル」)に伴う違約金や解約手数料の存否をめぐる争いが昨今増えております。
 
 とりわけBtoC(対消費者)契約のキャンセルにつきましては、消費者契約法適用の有無を検討した結果、「損害賠償債務の不存在」の主張が可能となるケースもあります。解約時、解約後のトラブルでお悩みの方は、ご相談ください。

 
 【不貞慰謝料請求事件】

 第三者に対する不貞慰謝料に関しては、民事訴訟において単体で請求する場合がありますが、不貞行為が原因となって夫婦が離婚に至ったか否かで、慰謝料の金額が変わってまいります(裁判例によれば)。
 
 また、他人間での民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求の問題にも対応可能です。

ご相談時には、損害額の根拠となるような客観的な資料(出費(額)を証する領収書、交通費や治療費のレシート等)をお持ちください。

 

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簡裁代理・本人訴訟支援に関わる過去事例

 
 【不当利得返還請求(過払金請求)の判決に基づく債権執行】
 (地裁・簡裁  申立人かつ原告=消費者側)
⇒ 消費者金融(債務者)のメインバンクの口座への差押え及び第三債務者への取立訴訟の提起(民事執行法157条)が奏功し、債務者(相手方)から連絡が有り、満額回収することが出来た。その後、取立の訴訟は取り下げた。
 
 

 【保険金請求事件】
 (調停代理・簡裁訴訟代理・地裁   申立人かつ原告=消費者側)
⇒ 依頼者(消費者)は本人訴訟も視野に入れておられたが、証拠しだいでは、無理筋となる可能性もあった。被告(保険会社)に顧問弁護士が就き、調停に当該弁護士が出席したが、和解ができない事案のため訴訟で勝ち切って頂くしかないとのことであった。 職権による裁量移送ではなかったものの、被告の申立てにより地裁へと裁量移送(民訴18条)されたため、以降は本人訴訟支援に切り替えざるを得なかった。
 
 

 【建物明渡し請求の即決和解申立】
 (簡裁代理  申立人=賃貸人側)
⇒ 店舗が対象。雨漏りの修理が困難であることを理由とする立退き料を請求された事案。一部未払いの賃料(振込手数料分)が有り、立退き料と相殺処理をした。
 依頼者が相手方(法人)から立退き料の金額に納得頂いた旨の連絡を受けて、任意退去の意思を確認し、即決和解の手続(立退き料の支払いと退去時期を定める。)を進めた。
 期日当日、申立人の代理人として出席し、相手方からカギの返却を受けた。相手方の代表者が期日に出頭できないため許可代理人に出頭して頂くよう予め連絡しておいた。
 本件では、相手方の本店移転(登記)がされており、それに伴い当事者目録の相手方住所を変更する必要が生じた。